平成23年8月20日、「そうけんサロン交流会」において、山根治理事長が下記の通り講演いたしました。
◆講演会の概要
- 日時:平成23年8月20日(土)6:00PM~7:00PM
- 場所:財団法人島根総合研究所(松江市東本町5丁目山根ビル1F)
- 講師:山根治(財団法人島根総合研究所理事長・公認会計士)
◆『原発-隠されていた真実』
※「そうけんサロン交流会」レジュメ
1.はじめに-決算が明らかにした東京電力の正体
- 平成23年3月期、東京電力の有価証券報告書(平成23年6月29日開示)
- 平成24年3月期、東京電力の第1四半期決算短信(平成23年8月9日開示)
-異常な決算と異常な財務行動
- 原子力損害賠償支援機構法の成立(平成23年8月3日)
-ほとんど審議されることなく与野党相乗りで成立したのは何故?
2.原発論議の視点
- 科学論・技術論
- 環境論
- 政策論(エネルギー政策)
- 会計工学
- 歴史学 - 考古学
- 政治・経済学 - 会計工学
3.原発政策の大前提
- 平和目的(Atoms for peace. アイゼンハワー)
- 原発安全神話
4.原発政策の大義名分
- エネルギー供給の安定性 Energy
- 環境適合性 Environment
- 経済効率性 Economy
5.隠されていた視点と大義名分
- 視点 - 政策論(国防)
- 大義名分 - 核武装
-「核の傘」ではなく「核の盾」
6.結論
- 原発は軍事施設(核兵器製造工場)であった。8つの根拠。偽りの非核三原則。
- 原発安全神話は当初から意図的に作られたものであること。ブラック・プロパガンダ(CIA)。原発立地を過疎地に限定。無答責の法理。事故賠償責任の免責。迷惑料としての電源三法交付金。立地自治体には麻薬的効果。
- 政策目的の欠如。3Eは事実に反する作り話。
- 廃熱利用としての原発。原発のエネルギー効率はマイナス。
- 原発立地・運営に不可解なカネの流れ。裏社会(CIA、フィクサー、ヤクザ)の関与。
- タブーとしての反原発運動。裏社会(CIA、フィクサー、ヤクザ)の関与。
- 原発導入の歴史的経緯。その後の政府首脳陣(主に自民党)の発言・認識。米・公文書の開示(50年)。
- 電力会社に対する異例の優遇措置(総原価利益上積み方式、原発事故による賠償責任の免責)。無責任経営を法的に許容。
- 日本は現時点で世界有数の核保有国。
- 原発情報は大本営発表、マスコミは大政翼賛会の広報部門であった。-3.11後一変。
- 1.及び2.の認識のもとで
- これまでの原発政策を日本国民として追認するかどうか。
- 今後原発政策を継続すべきかどうか。
- すでに保有している核物質(プルトニウム34トン (外に144トン))をどうするか。
7.参考書籍
- 小出裕章「原発はいらない」幻冬舎ルネッサンス新書
- 佐藤栄佐久「福島原発の真実」平凡社新書
- 佐藤栄佐久「知事抹殺」平凡社
- 有馬哲男「原発・正力・CIA」新潮新書
資料
(A)東京電力 平成23年3月期決算
1.P/L(損益計算書)
勘定科目
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平成23年3月末
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営業収益
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5,368,536百万円
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当期純損失
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△1,247,348百万円
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(災害特別損失)
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(△1,020,496百万円)
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2.B/S(貸借対照表)
勘定科目
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平成23年3月末
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資産
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14,790,353百万円
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負債
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13,187,875百万円
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差引純資産
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1,602,478百万円
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勘定科目
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平成22年3月末
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平成23年3月末
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現金預金
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180,183百万円
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2,248,290百万円
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勘定科目
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平成22年3月末
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平成23年3月末
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社債
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4,739,625百万円
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4,425,580百万円
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長期借入金
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1,614,384百万円
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3,423,785百万円
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一年以内に期限の到来の固定負債
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747,606百万円
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774,837百万円
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短期借入金
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363,643百万円
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406,232百万円
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借入金等計
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7,465,258百万円
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9,030,434百万円
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- 現金預金 2兆681億円の増加
- 借入金等 1兆6,517億円の増加
※ともに平成22年12月末日以降。3.11から3.31までに2兆円の資金が積み増しされた可能性大。積み増しの理由? この時期、銀行が融資に応じた背景?
3.原発事故による損害賠償金は計上せず
4.「会社グループの財務体質が大幅に悪化し、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在」
(B)監査報告書(新日本有限責任監査法人 平成23年6月28日付)
- 無限定適正意見
- 追記情報として
- 継続企業の前提に重要な疑義
- 「偶発債務」、賠償額は原子力賠償紛争審査会が審査中。賠償額を合理的に見積もることができない。未計上。
- 「後発事象」、賠償額は原子力賠償紛争審査会が審査中。賠償額を合理的に見積もることができない。未計上。
(C)監査意見
- 適正意見
- 無限定 ◎ ?
- 限定付
- 不適正意見
- 意見不表明
*新日本監査法人の監査意見は妥当であるか?